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新聞社インターン時の執筆記事

The Times Recordでの上司、Jim

2001年7月19日、(アメリカ合衆国東海岸北部の)メーン州に来て3日目、(現地の)インターンシップ斡旋会社の取りまとめ役であるBeckyと研修先となる地方新聞社、The Times Recordを初めて訪れた。

Bike path, Brunswick, Maine会社に着くと、直属の上司である編集局長のJimが会議中だったため、社会部編集者のTomが社内を案内してくれた。広告部、販売部、人事部、営業企画部、ネットワーク管理部を訪れ、最後にこれから10か月間働くことになる「編集局」を訪れた。私は社内のほぼ全社員に自己紹介し、「世界のニュースで特に興味を持っていることは?」「新聞で扱う分野のなかで特に興味を持っていることは?」「出版社ではどんな製品を作っていたの?」などと、いろいろなことを矢継ぎ早に英語でたずねられたのであった。当たり前だが、すべての社員がアメリカ人。米国東部の発音は日本人にとって聞き慣れた標準英語であるが、何しろ早い。新聞特有の専門用語もどんどん出てくる。

実はThe Times Recordに来るまでは、英語で話すということに自信があった。日本(の教育系出版社の編集部)で英語教材を制作し(よくある英語の決まり文句に慣れ)ていたため、(海外で)英語でホテルやレストランを予約したり、(場合によっては)ホテルのフロント係に部屋について文句を言うことさえできていた。また、アメリカ英語(の発音など)に対しても、日本で習う標準英語だったので、慣れていた。しかしながら、私はすぐに(英語のスピードやわからない単語に)圧倒された。新聞社で使われる英語は、私が使ってきた旅行英語よりもずっと難しいということを、すべての自信を失いながら思い知ったのであった。

Maine Street, Brunswick, Maineその後、(会議を終えた)Jimと私は今後の私の研修方針について話し合った。 「The Times Recordであなたは何を学びたいのか。あなたが会社に対してどんなことを提供できるのか。今はお互いにわからないけれども、この研修がお互いにとって実り多いものとなるよう、臨機応変に、Shokoの関心を尊重しながらやっていこう」と、Jimは言ってくれた。私は「Jimはinterestという単語をよく使うな」などと思ったが、このときはまだJimのすごさがわかっていなかったのである。

Jimにとって、「国籍も母国語も異なり、新聞業界でまったく経験がない人間を教えるということ」は大変なことであったと思う。Jimは(良い点をほめながら)辛抱強く励まし、多くのことを教えてくれた。コラムの文章構成法、取材のしかた、文化間の相違点について、多くのことを学んだ。

私にとっても、英語を使って働くということは、予想以上に大変だった。文化間の相違により(日本で働いていたときには)想像もしない問題も実際起こったのである。問題が起きたときも米国の常識(ではどう対処するのか)さえわからなかった。米国はさまざまな民族で構成される国だから、常識に当たるものは存在しないのかもしれない、と、今では思う。とにかく私は常にJimに相談するようにした。それが唯一の解決策であったからだ。

The Times Recordを訪れた初日に、Jimは私にこうも言った。「あなたには勇気がある。メーン州に知り合いがいるわけでもない。The Times Recordに知り合いがいるわけでもない。(それなのに)ここに来た」と。私は勇気があったのではない。実際はこの職に応募した時点ではどうなるのか単に想像できなかっただけだ。何とかなると思っていた。すばらしい上司・友人・読者に出会えてラッキーだったから何とかなったのである。

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